局所進行乳がん、いわゆる「花咲き乳がん」とはどのようなものですか? – 高山医師のオピニオン

高山 伸 医師
[オピニオン]
国立がん研究センター中央病院 乳腺外科 医長

「花咲き乳がん」という表現は正式なものではありません。

乳がんの進行・増大により、乳房の皮膚が潰瘍を形成して、皮膚の欠損した範囲が大きくなってしまった状態を比喩したもので、「局所進行乳がん」の状態のひとつです。

 乳がんの進行の程度を「病期(ステージ)」として分類しますが、乳癌の場合、病期0期、Ⅰ期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期、ⅢB期、ⅢC期、Ⅳ期と分類されています。

国立がん研究センターがん情報サービスの下記のサイトにその詳細が記載されていますので、参考にしてください。

参考:https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html

病期0期の非浸潤癌と、病期Ⅰ期の2cm以下の浸潤癌でリンパ節転移や遠隔転移のない状態が「早期乳癌」と定義されています。

一方で、病期Ⅳ期の遠隔転移のある状態を「転移性乳癌」と表現します。遠隔転移とは、「乳房や乳房周囲のリンパ節」を越えて、骨や肺、肝臓などの全身にがんが広がってしまっている状態です。

「乳房や乳房周囲のリンパ節」を「局所の病変」と定義しています。

乳房の腫瘍が大きくなってしまった状態や、乳房周囲のリンパ節にがんが転移してしまった状態を「進行乳がん」と定義しています。

病期ⅡAから病期ⅢCが「進行乳がん」に相当します。その中でも病期ⅢAから病期ⅢCにあたる局所の進行が著しい状態を「局所進行乳がん」と強調しています。

「局所進行乳がん」には、乳房の腫瘍が著しく大きくなってしまい、前述したように皮膚に発赤やむくみ、潰瘍を形成してしまったものや、胸壁に浸潤してしまったものが含まれます。

炎症性乳癌もそのひとつです。また、乳房周囲のリンパ節に著しく転移してしまった状態も含まれます。

大事なことは、例え「局所進行乳がん」であっても、遠隔転移がなければ、「根治」を目指した治療が行えるということです。

「どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。」とか「病院に行きづらいなあ。」とか感じていても、ひとりで頑張りすぎないで専門医のいる病院を受診してください。

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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。

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