浸潤性小葉癌ってなに?- 黒住医師のオピニオン

黒住 献 医師
[オピニオン]
国際医療福祉大学成田病院 乳腺外科学講師

浸潤性乳癌の中には、その形態学的特徴から特殊型に分類されるものがあります。

特殊型は全浸潤性乳癌の約10%を占めます。特殊型の中で最も多いのは、浸潤性小葉癌であり、乳癌全体の約5%を占めると言われていますが、近年増加傾向にあります。

浸潤性小葉癌は50歳以上の患者さんが多く、ホルモン受容体陽性を示すことが多いです。

予後は、非特殊型の浸潤性乳癌と比較して、良い傾向にあるとされていますが、多発したり、両方の乳房に同時に発生したりすることがしばしばあります。また、消化管転移、腹膜転移、卵巣転移といった特殊な転移を生じることがあります。

浸潤性小葉癌では、癌細胞1つ1つの悪性度は低い傾向にありますが、E-カドヘリンなどの細胞間の接着に必要な物質の機能が失われています。そのため、非特殊型の浸潤性乳癌と比べて、パラパラと広がりやすい傾向にあります。画像検査で確認できる範囲より、実際の癌の広がりが広いことがあります。

浸潤性小葉癌の治療方針は、現状では非特殊型の浸潤性乳癌とまったく同じですが、前述の通り特殊な性格を持っていることから、浸潤性小葉癌に特化した薬物治療の発見が期待されています。 

(河口奈々桜、黒住献医師 共著)

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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。

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