乳がんの化学療法は手術前に行なった方がいい?手術後に行った方がいい?- 林医師のオピニオン

林 直輝 医師
[オピニオン]
聖路加国際病院 乳腺外科医長

乳がんの治療として手術と化学療法の両方を必ず行わなければいけない場合があります。このような状況下では、化学療法を手術の前に行う「術前化学療法」と、手術の後に行う「術後化学療法」は、どちらを行っても命に対する効果は同じであることが過去の臨床試験で示されており、両方とも標準治療の選択肢となっています。

術前化学療法のメリットは大きく分けて、①腫瘍やリンパ節転移を縮小したり完全に消失させること、②縮小により部分切除術ができる可能性が上がること、③治療効果がわかること、になります。

乳がんのサブタイプによっては、術前化学療法によって腫瘍が完全に消失すれば、予後が非常に良いということが予測できます。

さらに近年では、術前化学療法を行い、その治療効果を評価することで、例えばがんが消失せずに残存した時には、さらに追加の治療を行うことで生存率を改善させるという選択肢も出てきました。

しかし、化学療法すべきか迷う症例はそもそも化学療法が必要でない可能性もありますので、術前化学療法はすべきではありません。

化学療法によって期待される治療効果、縮小する確率などは乳がんのサブタイプによって違いますので進行度も考慮し、術前化学療法を行うのが良いかは主治医との相談が重要です。

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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。

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