大前提として知っておかなければいけないことは、セカンドオピニオンとはあくまで他の医師の意見を聞いてこれを取り入れ、「現在の医師のもとで治療を行う」のが原則だということです。
乳がん手術または治療において、主治医の話や治療方針に納得がいく場合にはセカンドオピニオンを行う必要はありません。
ガイドラインに準じた乳がんの標準治療というのは、日本国内でほぼ共通のものです。細かい診療方針になると多少のバリエーションはありますが、大まかな診療の方針は変わりません。従って、医師の違いから大きな違いや齟齬が生じることは、乳がん診療の場合には生じにくいと考えています。
一方、かかりつけた医師が日本乳癌学会が認める乳腺専門医ではない場合や、ガイドラインの理解が十分でない場合があります。もし、医師からの話が腑に落ちないとか、納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを施行するのが良いと思います。
現在では、セカンドオピニオンを検討したいと言って嫌な顔をする医師はほとんどいません。ご自身の健康のことですから、遠慮はいりません。
ただし、セカンドオピニオンは思わぬ時間が掛かるものです。セカンドオピニオンを別の病院で予約して受診し、医師と話しをするまでに、最低でも通常2週間、長ければ1ヶ月以上掛かる場合があります。これにより治療の開始が遅れることになります。予約していた手術をキャンセルしなければいけないかもしれません。その遅れが病状から許容できるのかを考え、少し遅れてでも納得のいく選択をしたいということであれば、セカンドオピニオンを検討されるのがいいと考えます。
セカンドオピニオンを考えてもいいのではないかと思う状況としては、医師の裁量で大きな結果の違いを生むことについて納得がいかない場合です。例えば、手術の術式や抗がん剤を行うべきかなどのケースがそれにあたると考えられます。これらについてセカンドオピニオンを受けることで、ご自身が納得して治療に向き合うことが可能になるかもしれません。
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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。