乳房再建手術は安全に行うことができますか? – 林医師のオピニオン

林 直輝 医師
[オピニオン]
昭和大学病院 乳腺外科教授

乳がんの治療のために乳房を失うことになる乳房切除術を行った時の喪失感を補うために、乳房再建術を行うという選択肢があります。

再建方法は大きく分けて、人工物を用いた再建と、腹部や背部の組織を用いた自家組織再建、の2種類があります。また、乳がんの手術と同時に行う一次再建と、期間をあけて行う二次再建があります。

これまでの報告では再建を行うことが乳がんの予後に影響を与える事はないと考えられています。また、乳房を再建することで再発の診断に影響したりすることはありません。近年、乳房再建術は保険適用となったので、希望される方が増えました。

それぞれ、入院期間やコスト、合併症、違和感などのメリットとデメリットがあります。人工物を用いた再建術では、ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫という二次性の血液のがんを発症することが報告されていますが、頻度は非常に稀と報告されています。また、進行した癌で放射線治療が必要な方も原則的に再建術は推奨されません。

再建はあくまでも患者さん本人の意向が大きいので、リスクと適応、方法や時期などに関しては主治医と相談が必要です。

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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。

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