乳がんは早期にみつかり適切な治療が行われれば、多くの場合は治る病気です。
ですが、一部の患者さんでは、適切な治療が行われたにもかかわらず、がんが再び増えてくることがあります。それを再発と呼んでいます。
乳がんは当然ですが乳房の中にできるがんです。手術や薬物療法や放射線治療などが行われることで、かなり早期の乳がんの場合は9割以上の確率で、リンパ節にがんが転移しているような、ある程度進行した場合であっても7-8割程度の確率で治すことができます。
しかし、逆に言えば、1~3割程度の方で、治療から数年経ってから、あるいは10数年後に、乳房やリンパ節、あるいは骨、肺、肝臓などにがんがみつかることがあります。これを乳がんの再発と呼んでいます。
なぜ治療を行って一度治ったはずのがんが再発するのか?
主に2つの理由があります。見た目以上にがん細胞は体の中に広がってしまっているから、治療が効かない強いがん細胞が存在するからです。
まだわかっていないことも多いですが、以下のように考えられています。
目で見えるような大きさの乳がんがある時点で、がん細胞はすでに血管やリンパの流れを通して体の中に流れてしまっています。
抗癌剤や分子標的薬、ホルモン療法などの薬物療法を行うことで多くのがん細胞は死滅しますが、一部の強く賢いがん細胞が存在し、骨など他の臓器の中に住み着き、月日が経ってからその場で増えたり血管を通して別の臓器に広がっていきます。
がん細胞が増えてある程度の大きさになった時に、痛みなどの症状をきたし、がんの再発がわかるようになります。
再発するとどうなるか?
乳がんは一度再発をきたしてしまうと、現代の医療では、そこから治すことは非常に困難であると考えられています。
がんは有効な治療が行われなければどんどんと大きくなり進行していきます。進行のスピードはがんの特徴や患者さんの状態によって異なるため、患者さんひとりひとりで異なります。
がんの進行を抑えることを目的として、ホルモン療法、化学療法、分子標的薬を中心とした薬物療法を行いますが、がんを完全に治すことは通常できません。
がんがある一定以上に進行すると、命に関わるような状態になってきます。再発が診断されてから命に関わるような状態になるまでの期間は、がんの特徴や患者さんの状態によって異なります。また、それを正確に予測することは非常に難しいのが現状です。
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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。