乳がん検診、マンモは受けた方がいい?- 林田医師のオピニオン

林田 哲 医師
[オピニオン]
慶應義塾大学病院 ブレストセンター長




マンモグラフィ検診は、受ける意味があります。

自治体などが行う対策型検診において、マンモグラフィ検診は乳がんによる死亡率を下げるという医学的エビデンスが欧米では確立されています。実際に、米国や英国などの検診受診率は70%を超えていますが、乳がんによる死亡率は減少傾向にあります。一方で、日本人の乳がん検診受診率は40%強に留まっており、乳がんによる死亡率は一貫して増加傾向です。単純に検診受診率をもって死亡率の過多を語ることはできないと思いますが、欧米と日本で医療技術の差やドラッグラグなどがほとんど存在しない状況で、大きく違う検診受診率に注目することは自然なことであると考えます。

ただし、欧米の乳がんの罹患者が増加するのは70代から80代で、40代から罹患数が急激に増加する日本とは少し状況が異なります。また日本人の若い女性はデンスブレスト (高濃度乳腺)を有している方が多く、その場合マンモグラフィにより異常を検出できる感度は落ちると考えられます。そのため、欧米のデータがそのまま日本人女性に当てはまるかどうかは今後の検討が必要であると考えられます。

30代の乳がん患者さんはとても少なく、20代は極めて稀なケースを認めるのみです。しこりを自覚するなど、症状のない場合はマンモグラフィによる検診は40歳を超えてから受けるべきと考えられます。

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[備考] 本オピニオンは、医師が経験に基づき一般的な医学的見解を述べたものに過ぎず、個別の事例についての所見を述べたものではありません。 個別の症例については、必ず医師に直接ご相談下さい。

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