女性のからだは、年齢とともにいくつかの段階を経て変化していきます。初潮に始まり、妊娠・出産し、閉経に至るまで、女性ならではのからだの仕組みをコントロールするのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるふたつのホルモンです。
エストロゲンは、一般的には8、9歳頃から、卵巣で分泌され、女性らしいからだ作りを助けるホルモンです。思春期においては、乳房の成長や子宮・膣の発育などを促すとともに、身長や体重の増加に役立ちます。女性ならではのまるみをおびたからだつきをつくるのも、エストロゲンです。
分泌量が増える12歳前後になると、女性は初潮を迎えます。エストロゲンは、生理にも密接に関わっており、閉経まで、生理の周期ごとに分泌量の増減を繰り返します。
30歳半ばまで、エストロゲンの分泌は活発に続きますが、40歳を過ぎるころになると、卵巣機能の低下によって、分泌量は減少していきます。生理の周期が不規則になり、やがて50歳頃、閉経を迎えます。この閉経前後の10年間が「更年期」であり、ホルモンバランスが急激に崩れるこの期間は、こころとからだに不快な症状が起こりがちになります。
乳がん発症は、女性ホルモンであるエストロゲン(主に卵巣から分泌)が関係しているといわれています。エストロゲンが分泌されている期間が長ければ長いほど乳がんを発症するリスクは高まります。簡単に言えば(エストロゲンが分泌されて)月経がある期間が長い方が乳がんになりやすいのです。
経口避妊薬(ピル)の使用期間が長い人、閉経後に長期のホルモン補充療法を行なっている人も、乳がんのリスクが高いとされています。ただしピルは避妊のため以外に月経痛などの治療にも用いられ、ホルモン補充療法は更年期障害の緩和に有用です。乳がんのリスクは上げる可能性はあっても、他のがんや病気を減らす効果もありますから、主治医とよく相談の上で処方してもらいましょう。
閉経後は卵巣から女性ホルモンが出なくなりますが、脂肪組織の働きで副腎のホルモンがエストロゲンに変化しますから、閉経後に肥満の人は乳がんのリスクが高まります。
[関連する記事]